(協力配信)1/18開催 特別講演+トークセッション「東京ヘテロトピア」の10年とこれから ー 混在郷をめぐる不可視の演劇、都市、観光
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ヘテロトピアという概念は、哲学者ミシェル・フーコーの言葉。ユートピアが現実には存在しない理想郷であるのに対し、ヘテロトピアは現実に存在する絶対的に「他なる場所」を意味します。アーティスト、高山明は、かつてアジアからの留学生や移民、難民たちの記憶の痕跡が残る場所を東京の中の「異郷=ヘテロトピア」に見立て、そこへ観客を導く装置としてのツアー演劇「東京ヘテロトピア」を考案しました。2013年のフェスティバル/トーキョーでの初演時には13箇所だった訪問地は30箇所に増加。現在では東京メトロとコラボした観光アプリを介して、詩人や小説家(管啓次郎、温又柔、木村友祐、小野正嗣、井鯉こま、チェン・ユーチン、小林エリカ、飯岡幸子、青柳菜摘)によって紡がれた「そこであり得たかもしれない物語」の朗読を聞くことができます。またこの10年間の間に、高山が招かれた台北、アブダビ、リガ、ベイルート、アテネ、フランクフルトといった都市でもプロジェクトが展開され、世界のあちこちにヘテロトピアが存在し続けています。
本企画では、この10年間の蓄積と展開を振り返りながら、「アジアの中の都市、東京におけるヘテロトピアとは何か」という問いに改めて向き合ってみたいと思います。第一部では、東京に長期滞在しながら全ヘテロトピアを訪れ、論文「東京ヘテロトピアー21世紀のパッサージュ演劇」を書き上げた美学者のトニ・ヒルデブラント氏をお招きし、その論文をベースとした発表を行っていただきます。第二部ではその発表を受け、都市工学者の羽藤英二氏およびアーティスト本人を討論者に迎え、都市論、演劇論、観光政策、アジア史などを自由に往来しながら、このプロジェクトの未来の可能性について、時間が許す限り議論を行います。
日時|2024年1月18日(木)19:30-21:30
会場|東京藝術大学上野キャンパス 国際交流棟3Fコミュニティ・サロン(以下の地図19番)
https://www.geidai.ac.jp/access/ueno
*オンライン配信の予定はございません。
【登壇者】
第一部 論文発表「東京ヘテロトピア ー 21世紀のパサージュ演劇」
講演者:
トニ・ヒルデブラント(美学者、ベルン大学)
第二部 討論「東京ヘテロトピアの10年とこれから ー 混在郷をめぐる不可視の演劇、都市、観光」
ディスカッサント:
羽藤英二(都市工学者、東京大学大学院工学系研究科教授)
高山明(演出家・アーティスト、東京藝術大学大学院映像研究科メディア映像専攻教授)
企画・司会:
相馬千秋(アートプロデューサー、東京藝術大学大学院美術研究科グローバルアートプラクティス専攻准教授)
参加無料・要予約(先着順・定員50名)
お申込フォーム
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSc9BKWTeM7krn_lbCgayiKB_f-7kq9hD9Y4TIZkcVhiw0w8Qw/viewform
使用言語|日本語・英語の逐次通訳つき(通訳者:山田カイル)
【登壇者プロフィール】
トニ・ヒルデブラント
トニ・ヒルデブラントは、ベルン大学のアドバンスト・ポスドクであり、UNAMメキシコシティとの共同プロジェクトであるSNSF Sinergiaプロジェクト「Mediating the Ecological Imperative」のコーディネーターである。2014年にバーゼル大学で美術史の博士号を取得し、「ヴォルフガング・ラッチェン賞」を受賞した後、2014年よりベルン大学近現代美術史学科に勤務。バーゼル大学、ベルン芸術大学、バーゼルFHNW美術デザインアカデミー、ニューヨーク大学で客員講師を務め、スイス・インスティテュート・イン・ローマ(2013-2017)、ミュンヘン中央美術史研究所(2019)、ヴァルター・ベンヤミン・コレグ(2020/21、シニアフェロー2024-26)でフェローシップを受けた。2022年にはアンソロジー『PPPP』を出版: ピエール・パオロ・パゾリーニ哲学者』(ジョヴァンバッティスタ・トゥーザとの共著)を出版し、現在は新著『原子時代の芸術』(2024年刊行予定)に取り組んでいる。
羽藤英二(はとう・えいじ)
1967年生まれ。東京大学大学院工学系研究科教授。専門は都市工学、社会基盤計画、マサチューセッツ工科大学客員研究員、リーズ大学客員研究員、カリフォルニア大学サンタバーバラ校客員教授、東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻准教授を経て現職。移動ネットワーク上の意思決定モデルに関する研究で米谷・佐佐木賞、世界交通学会Bursary Prize、交通工学論文賞など多くの賞を受賞。陸前高田の復興計画やモビリティ・クラウドの研究開発に従事しながら、東京2060プロジェクトに取り組む。
高山明(たかやま・あきら)
1969年生まれ。2002年、演劇ユニットPort B(ポルト・ビー)を結成。実際の都市を使ったツアー・パフォーマンスや社会実験プロジェクトなど、現実の都市や社会に介入する活動を世界各地で展開している。近年では、美術、観光、文学、建築、教育といった異分野に越境し、演劇的発想・思考の可能性の開拓に取り組んでいる。主な作品に『ワーグナー・プロジェクト』(横浜、フランクフルト、大分、金沢)、『マクドナルド放送大学』(フランクフルト、ベルリン、香港、東京、金沢、ブリュッセル、ウルサン、鳥取)、『国民投票プロジェクト』(東京、福島、ウィーンほか)、『完全避難マニュアル』(東京、フランクフルト)など多数。主な著書に「テアトロン: 社会と演劇をつなぐもの」(河出書房)。
相馬千秋(そうま・ちあき)
アートプロデューサー、NPO法人芸術公社代表理事。演劇、現代美術、社会関与型アート、VR/ARテクノロジーを用いたメディアアートなど、領域横断的な同時代芸術のキュレーション、プロデュースを専門としている。フェスティバル/トーキョー初代プログラム・ディレクター(2009年〜2013年)、あいちトリエンナーレ2019および国際芸術祭あいち2022パフォーミングアーツ部門キュレーター、シアターコモンズ実行委員長兼ディレクター(2017年〜現在)など。2023年にドイツのフランクフルト・オッフェンバッハで開催された世界演劇祭テアター・デア・ヴェルト2023のプログラム・ディレクターも務めた。2015年フランス共和国芸術文化勲章シュヴァリエ受章、2021年文化庁芸術選奨(芸術振興部門・新人賞)受賞。
主催|
東京藝術大学大学院美術研究科グローバルアートプラクティス専攻(GAP) 相馬千秋研究室
共催|
東京藝術大学大学院映像研究科メディア映像専攻 高山明研究室
東京藝術大学グローバルサポートセンター
問い合わせ先|
美術研究科 グローバルアートプラクティス専攻
メール:gapstaffs@ml.geidai.ac.jp