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相馬千秋&岩城京子(芸術公社)が世界演劇祭2023 ディレクターに就任!

2021.07.05
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3年に一度、ドイツの都市で開催される世界演劇祭 / テアター・デア・ヴェルト。1981年の創設以来40年の歴史を持ち、ドイツのみならず世界の演劇シーンを代表する重要な演劇祭です。

次回2023年は、6月29日から7月16日の間、フランクフルト市および隣接するオッフェンバッハ市で開催が予定されており、フランクフルトにある3つの文化機関(ムーゾントゥルム劇場フランクフルト市立劇場応用美術館)がオッフェンバッハ市文化局と協同で実行委員会を形成し、演劇祭を主催します。

40年の歴史上初めて、世界演劇祭2023はディレクターを公募。世界30カ国から70を超える応募があり、選考は書類審査、企画プロポーザル、面接など、半年間におよぶ長いプロセスを経て行われました。その結果、芸術公社の相馬千秋と岩城京子が提案した企画が選ばれ、相馬がプログラム・ディレクターに、岩城がチーフ・ドラマトゥルクに就任することが決定しました。芸術公社もコレクティブとして、演劇祭や参加作品の企画制作、コミュニケーション・デザイン、都市プロジェクトなどの業務を担います。

Photo: Yurika Kawano / Naoaki Yamamoto

国際演劇協会(ITI)ドイツセンターが発表したリリースでは、相馬千秋と岩城京子によるステートメントが掲載されています。(以下抜粋)

「世界演劇祭を率いる初のアジア人女性チームとして、私たちは、非西洋的、非二元的、さらには非人間的な視点を大いに採用して、〈演劇〉〈フェスティバル〉そして〈世界〉の西洋規範的モデルを再考・再構築していきます。このような倫理観を今回の演劇祭を運営する基本オペレーション・システムに据え、また世界規模でつづくパンデミックからの経験を学びに変えて、私たちは「インキュベーショニズム」と題したテーマを提案したく思います。

インキュベーション主義という耳慣れない言葉は、進歩主義的考えでは単なる未来への待機となってしまう退屈な時間を、新たは視座や可能性を育むためのポジティブな時間として捉えなおす主義です。それはまたコロナ禍のロックダウン中に誰もが経験した、未来の新しい生命を孵化するための時間と、近未来に暗示させる喫緊の病が潜伏する時間を、誰しもが同時に抱えて生きることです。私たちは、この二重時間を否定せずに、抱擁することこそが、ケア、治療、ネガティブ・ケイパビリティに関する新しい倫理を想像するための基盤になると考えます。

近代史上初めて、莫大な数の人々の心と体がいま病に冒されています。また同時にこのパンデミックを介して私たちは、病める人びとだけでなく、ゆっくりと病み、朽ち、死にたえてゆく動物、植物、コミュニティ、自然等と、どう持続的につきあい、相互扶助のケアを広めいくべきかを考えるようになりました。いまこの時にこそ私たちはクリティカル・ケアの概念を応用し、女性、マイノリティ、移民、経済的弱者などと暴力的に鎖でつながれてきた、ケアの活動・思考・責務を解放すべきです。悲劇的事象のトラウマは、つねに遅れてやってきます。2年後となる2023年のフランクフルトとオッフェンバッハで、私たちは協同するアーティストとともに、あらゆる存在がケアを享受し、キュア(治癒)を施されるような、新しくやわらかな世界を描きたいと思っています。」

また同リリースでは、世界演劇祭を主催する3つの機関の芸術監督[マティアス・ピース(ムーゾントゥルム劇場芸術監督)、アンゼルム・ウェーバー(フランクフルト市立劇場芸術監督)、マティアス・ワーグナーK (応用美術館館長)]が連名でコメントを発表。

「30か国から寄せられた70を超える応募のうち、相馬千秋と岩城京子は、パンデミック後の世界での国際フェスティバルの前提条件に対し批評的な問いを提示し、「インキュベーショニズム(孵化主義)」というコンセプトを提示、その明確で勇気ある提案によって私たちを納得させました。世界演劇祭2023は、ムーゾントゥルム劇場、フランクフルト市立劇場、応用美術館、そしてオッフェンバッハ市とのパートナーシップによって主催されます。キュレーターチームは、世界演劇祭史上初の座組に対して、領域横断性と多様性に焦点を当て、フランクフルト/オッフェンバッハの都市圏における、現実の生活とグローバル/ローカルなコミュニティとの芸術的な対話をもくろむ多面的な企画で応答してくれました。世界演劇祭2023は、活気に満ち、アクセスしやすく、持続可能で、批判的かつ多様なフェスティバルとして、相馬千秋と岩城京子と協働することを楽しみにしています。」

詳細は、以下のITI Germany 国際演劇協会からのリリースをご覧ください。
英文リリース(PDF)
独文リリース(PDF)

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