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高山明『北投/東京 ヘテロトピアの交わる場所』

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作品紹介

北投と東京、二つの異郷と複数の物語が交錯する

3晩の朗読とレクチャーパフォーマンス 

Port Bが2013年に発表したツアーパフォーマンスを発展させ続け、2015年に演劇アプリとしてリリースした「東京ヘテロトピア」。現在19箇所の訪問地に増殖し、東京における「アジア」の歴史が複層的に浮かび上がる演劇的仕掛けだ。

その台北バージョンとして台湾国際ビデオアート展の一環で制作されたバイクタクシーツアー「北投ヘテロトピア」では、かつて日本統治時代に開発された温泉地を舞台に、台湾原住民文学を代表するワリス・ノカンと、台湾の新世代文学の旗手・チェン・ユーチン、そして日本から作家の管啓次郎と温又柔が合わせて7つのテキストを執筆。現在も連日上演が続けられ話題を集めている。

今回、ワリス・ノカンとチェン・ユーチンがあらたに東京を訪れ「東京ヘテロトピア」の新訪問地のテキストを執筆・発表するのに合わせ、文学と演劇、東京と北投が交わる3晩の異なるプログラムが開催される。そこに通底するのは、高山自身が問いかける演劇論/劇場論だ。演劇史を遡り、メディアとしての演劇/劇場の未来が、レクチャーパフォーマンス形式で語られることになるだろう。

アーティスト

ワリス・ノカン

台湾のタイヤル族の作家。1990年代、原住民文化に関する『猟人文化』誌の発行などを通じ創作に変化が生れ、タイヤル族の文学スタイルが打ち出された。多くの重要な文学賞を受け、1996年、「伊能再踏查」で時報文学奨新詩類評審奨を受賞。邦訳書に『台湾原住民文学選3 永遠の山地 ワリス・ノカン集』(草風館、2003年)。

チェン・ユーチン

台湾生まれの新鋭作家。父は福建出身の栄誉国民(元国民党退役軍人)、母はインドネシア華僑。国立台湾大学戯劇学科を卒業後、劇本創作修士課程修了。27歳の時の小説『少女フビライ』を機に、『印刻文学生活(INK)』誌の表紙を最年少で飾る。著作は『聯合文学』、『上海文学』、『萌芽』誌などに収録。

高山明(たかやま・あきら)

演出家。演劇ユニットPort B(ポルト・ビー)主宰。実際の都市を使ったインスタレーション、ツアーパフォーマンスなど、既存の演劇の枠組を超えた活動を世界各地で展開、演劇的発想・思考によって様々なジャンルでの可能性の開拓に取り組んでいる。

林立騎(はやし・たつき)

翻訳者、演劇研究者。おもに戯曲や演劇理論を翻訳。ノーベル賞作家エルフリーデ・イェリネクの『光のない。』(白水社)で第5回小田島雄志翻訳戯曲賞。2005年より高山明の作品制作に参加。Port Bでは『ヘテロトピア』シリーズ、Port観光リサーチセンターでは「メディア・パフォーマンス」シリーズのリサーチを担当する。

温又柔(おん・ゆうじゅう)

小説家。1980年台北生まれ。3才より東京在住。「日本育ちの台湾人」という観点から、言葉とアイデンティティーの問題と向きあって創作を行う。著書に『台湾生まれ日本語育ち』、『来福の家』(ともに白水社)。

管啓次郎(すが・けいじろう)

1958年生まれ。詩人、批評家、明治大学理工学部教授(批評理論)。主な著書に『コロンブスの犬』『狼が連れだって走る月』『オムニフォン』『斜線の旅』など。詩集として『Agend’Ars』4部作がある。スロヴェニア、セルビア、コソヴォ、エクアドルなど、海外の詩祭での朗読多数。主な翻訳にアルトー『手先と責苦』、ルクレジオ『ラガ』、ベンダー『レモンケーキの独特なさびしさ』など。

作品クレジット

レクチャーパフォーマンス・出演|高山明
朗読/トークセッション・出演|ワリス・ノカン、チェン・ユーチン、管啓次郎、温又柔、スー・フランキー、シュウ・ファンツー、高山明
リサーチ・司会|林立騎
翻訳|及川茜、下村作次郎
音響|稲荷森健
リサーチ通訳|劉詩蕾
リサーチ協力|本柳享、西本健吾
助成|台北駐日済文化代表処 台湾文化センター
協力|鳳甲美術館

上演記録

2017年1月27日〜29日

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